本報では,三重県多気町勢和地域を灌漑する立梅用水が灌漑用水としての機能に加えて,①防災,②観光・地域活性,③地域教育・福祉,④生活維持,⑤小水力発電,⑥農村環境保全,⑦生態系保全,⑧歴史的遺産保全,⑨農村協働力・自治形成などの多面的機能を有していることを明らかにした。そこで,多面的機能保全に関与する20の組織の関与度を評価した結果,土地改良区,水土里サポート隊,勢和地域資源保全・活用協議会が最も高いポイントを示した。こうした保全活動を通して生まれた農村文化は,豊かな食文化を醸成するとともに6次産業化を誘発し,地域振興に大きく貢献していることを評価した。