先人たちにより切り拓かれ継承されてきた水土の知を後世に広く伝承するためには,大学で専門的に学ぶ学生たちが地域の子どもたちへこれを伝える場を設けることが,効率を高める点からも重要であると考えられる。東京大学水利環境工学研究室では,所属する学生,特に大学4年生が主体となって,小学校での環境教育の出前授業,小学生の親子を対象としたワークショップの開催,農村地域住民に対する研究活動の紹介などの取組みを実施している。本報では,これらの概要について紹介し,その成果や現状の課題について考察を行う。また,本研究室の大学生が小学生に対する出前授業を経験したことによる効果を,現在従事する業務や研究へ果たした役割や意識の変化を調べることによって明らかにする。