大潟村は八郎潟干拓事業によるモデル農村として誕生し,2014年に50周年を迎えた。これまでさまざまなプロセスを経つつも,稲作主体の大規模農業を展開し,担い手の確保や所得水準の高い農業経営の実現などを通じて1つの自治体が農業を核として発展しうることを示した。一方,わが国の農業構造は大きく変化し,折しも食料自給率目標や食料自給力指標,農業所得の増大などの施策推進を盛り込んだ新たな食料・農業・農村基本計画が閣議策定された。本報では,大潟村の農業・農業生産基盤とその成果を生産費などの指標を用いて概観するとともに,秋田県内の生産現場の状況や新たな基本計画も踏まえつつ,地域の農業所得の増大など土地利用型農業の振興のための基本的条件について考察する。