2004年新潟県中越地震では山間部の長期停電が親鯉の大量へい死につながったため,一部の大規模経営層は越冬用水槽などの施設や住宅を平野部に移転させた。こうした大規模経営層の中からは企業的経営体が出現している。一方で,山間部に残った大規模経営層は山間部の養鯉池を中心に生産を続けている。本研究では,山間部にとどまった大規模経営層が山間部に養鯉池を展開する意義とそのために行っている取組みを明らかにすることを目的として,2014年4~12月に小千谷市東山地区を対象として聞取りと現地踏査を行った。その結果,山間部の養鯉池,とりわけ天水池で大型の錦鯉を飼って良いものに育て上げることに価値を見いだし,天水池を山頂部に展開するに当たっては安全性にも配慮していることがわかった。