本報では,水利システムが将来にわたり変わり続けることを前提とする新たな更新技術の体系の構築を視野に入れ,水利システムを社会インフラのネットワークとしての定式化と,当面の水利システム再編の方向性について考察する。最初にそのための準備として,社会を支えるインフラとネットワークの関係について共用と専用の概念を解説するとともに,今後水利システムの分析にも重要な位置を占めると考えられる近接グラフの概念整理と冗長性に着目した分析方法の説明を行う。そして,それらの分析手法を適用するための準備として,ネットワークグラフに基づく水利システムの階層的特性の表示や,施設・情報・社会ネットワーク間の関係整理などを行う。