2016 年 84 巻 4 号 p. 271-274,a1
田んぼダムの取組みに関心が集まっているが,取組み導入後に実施率が顕著に低下する事例が多い。事業面積約1,200haと大規模に田んぼダムを展開する新潟県見附市では,2010年の田んぼダム導入後5年を経過した現在においても,高い実施率を維持している。これは,多面的機能支払交付金の活用に加えて,農家の取組みへのインセンティブ形成を促す見附市独自の巧妙なスキームによって維持されている。本報では,取組みの可能性を模索する自治体および団体の参考に供することを目的に,見附市の取組みの持続性を支える施策スキームを整理し,報告する。