畦畔法面の除草作業は負担が大きくかつ事故も多い。そこで多く使用される「草刈機」による事故は農作業機械種別件数のうち最多となっている。圃場整備の実施時ならば,設計基準にある中間および法先小段の設置が可能だが,現時点で多くの作業現場に小段はなく,作業環境の改善が求められる。本報では,この実施を阻害する社会的な構造要因として,多くの農家が個別経営である点から作業環境の改変が行われにくい状況などを指摘した。一方,現在は多面的機能支払交付金などにより環境改善が可能な状況にあることから,導入希望地域の整備状況と小段設置が可能な事業種の関係を整理し提示した。さらに,長野県の異なる工法による改善策(2事例)を紹介した。当該作業の労力軽減と安全性向上の課題に直面する地域への一助となれば幸いである。