青森県沿岸部の一部の施設園芸生産者は灌漑用水を井戸水に依存している。この井戸水は不圧地下水であるため,当地域では5m程度の浅井戸を掘削することにより灌漑用水を確保している。しかし,巨大な震災津波による冠水被害を受けた青森県沿岸部低平地帯の浅層地下水は高い電気伝導率で推移し,その傾向は現在も継続している。既往の研究成果においても東日本大震災後における地下水の塩水化の長期化についての指摘がなされている。著者は2011年から現在に至るまで,青森県八戸市,おいらせ町および三沢市内の沿岸部に位置する井戸の水質モニタリングを通じ,施設園芸生産者に対して水質に関する助言を行うことを目的に継続的に調査しており,現在までにある程度の結果が蓄積されたためここに報告する。