2017 年 85 巻 6 号 p. 575-578,a3
カンボジアでは1999年から農民参加型の灌漑管理政策および事業が展開されているが,農民水利組織への灌漑システムの維持管理の移管は十分な成果をあげていない。こうしたなか,すでに灌漑施設の復旧が実施された大規模灌漑地区の中には,農民水利組織が設立され,高い賦課金徴収率を維持して管理運営がよく機能しているところもある。本報では,こうした組織の運営状況を示し,持続的な灌漑管理の成功の要因として,農民水利組織の役員の高い管理運営能力と地域貢献による組織内の強固なネットワークおよび信頼関係の構築が重要であることを述べる。