農業農村工学会誌
Online ISSN : 1884-7196
Print ISSN : 1882-2770
胆沢ダム整備事業の効果とその増進方策
木下 幸雄
著者情報
ジャーナル フリー

2018 年 86 巻 1 号 p. 11-14,a1

詳細
抄録

本報は,農業用水利用技術と農業水利の本質との関わりについて,農業経営学の立場から再考を試みたものである。岩手県南地域で水田地帯の一角をなす胆沢平野土地改良区を事例として,ダム整備が実際にもたらした農業上の効果を定性的・定量的に整理し,用水の意義を論じながら将来的な効果増進の可能性を示した。ダム整備事業によってもたらされた豊富で安定した農業用水を調達できる技術を基盤として,直結的ですでに発現している短期的な農業上の事業効果が確認されたが,農業用水のイノベーション機能にも着眼すれば,ダイナミックで長期的な効果へと波及し,そこにダム整備事業の効果を増進させる方策を生み出す余地があると考える。

著者関連情報
© 2018 公益社団法人 農業農村工学会
前の記事 次の記事
feedback
Top