茨城県北部の中山間地域において,地域住民対象の悉皆調査と他出者対象のアンケート調査を実施し,他出子の地域社会組織へのコミットメントの実態を明らかにした。他出しながらも地域社会組織に所属し,地域の担い手として活動している他出子の多くは,Uターン意思を持っていた。また,20~30代の若いうちに家族と共にすでにUターンを行った人がいる世帯の特徴には,「地域社会とのつながりが強い世帯」であることが挙げられた。地域社会とのつながりがUターン意思に一定の作用を及ぼしていることがうかがえるが,他出子の多くは帰省をしても地域社会への関与はほとんど見られず,実家での活動にとどまっている。他出子の地域社会への関与を促すためには,他出子が帰省しやすい時期に地域行事を行うなどの対策を検討すべきである。