2018 年 86 巻 2 号 p. 109-112,a1
中山間地域において高齢農家が農業を持続していく上で,伝統野菜の栽培は有効な活動であると考えられる。本報では,高齢農家が伝統野菜の栽培に取り組む意義と必要な人的支援を普及の面から明らかにすることを目的とし,長岡市山古志地区の「かぐらなんばん」の普及と柏崎市南鯖石地区の「土垂芋」の普及の事例を取り上げる。両地区において,地域の子どもへ伝統野菜の栽培指導が行われており,高齢者の生きがいにつながっていることがわかった。ほかにも外部への視察などの取組みに対して,山古志地区では山古志支所による支援,南鯖石地区では南鯖石コミュニティセンターによる支援がある。活動の運営や外部との調整などの高齢者にとって負担になりやすい面を,行政やコミュニティセンターが支援していくことが有効である。