農業農村工学会誌
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サルの集落ぐるみの追払いを阻害する物理的要因と改善策
九鬼 康彰青木 茜武山 絵美
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2018 年 86 巻 5 号 p. 381-384,a1

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抄録

本研究ではサルの被害対策で行われる集落ぐるみの追払いを阻害する物理的な要因の検討を行った。三重県伊賀市の13集落に対するヒアリングや住民による1年間のサルの出没および追払いの記録,GPSの追払いログデータを分析して,追払いの実態や追払いをしていないエリアを明らかにした。その結果,サルの出没頻度が上がるほど毎回の追払いが困難なこと,使用道具は威嚇効果の高いものに変化していること,成功した集落では効果が持続していることが分かった。また,集落内や周縁の里山と河川,他獣種対策のフェンス柵などが追払いの阻害要因になっていることが得られた。このことから主な要因の解消には里山の管理,特に林縁部の伐採が重要であることを指摘した。

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© 2018 公益社団法人 農業農村工学会
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