湖沼の密度成層や流体運動に関する物理プロセスは,既往研究で多くが解明されてきた。しかし,水環境の変化が著しい,ため池などの小規模な湖沼における物理プロセスの研究事例は少ない。小規模ゆえに単純化された力学で,物理プロセスの多くが説明できると考えられてきたからである。本報では,大中規模の湖沼と同様に,夏季に強い密度成層が発達する小規模な湖沼について,物理プロセスの1つである内部波に着目し,その特性の理解のために,水温の時系列データを用いてスペクトル解析を行った。解析方法については,実用的で詳細な説明を行い,適応事例を通して,小規模な湖沼の内部波の特性と今後の課題を明らかにした。