農業農村工学会誌
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明治企業人が支えた枝下用水の農業土木技術と経営
近藤 文男野場 嘉輝逵 志保
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2018 年 86 巻 9 号 p. 797-800,a2

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抄録

枝下用水は,愛知県中央部にある豊田市を中心とした地域の農地を灌漑している。この用水は,明治16年に着工され,明治27年に竣工したが,水路建設に当たり,地形条件や自然災害などのため,多くの難題があり,明治期の企業人による各種の技術的な工夫により,これを克服していった。また,工事費が増高したことにより,資金面や用水経営の苦労も多かった。それゆえに地域の農家から用水を熱望する気持ちが強く,現在までも,開削者への感謝の思いが地域に受け継がれている。130年以上にわたる激動の時代に,農業生産への貢献はもとより,地域の発展を支えた灌漑施設であり,この地域の重要な財産である。

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© 2018 公益社団法人 農業農村工学会
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