新潟県佐渡市羽茂地区のカキ圃場において,1日当たり3mmのドリップ灌漑を実施したところ,灌漑による果実の大玉化と品質の向上が確認された。一方,灌漑の実施により,灌漑しない場合に比べて果実の成熟が若干遅くなることで,試験研究で一般的に実施されているすべての試験区を同一日に収穫する方法では,灌漑による品質(等級割合)の向上効果を過小評価する可能性が考えられた。そこで,着色指数を用いて各試験区の果実の成熟程度を揃えたところ,着色指数を考慮しない場合よりもより大きな灌漑効果が期待できるという結果になった。羽茂地区の各等級の出荷額を参考に,試験結果による各試験区の出荷額の試算では,対照区に比べ灌水区の方が2.8~7.9%出荷額が多かった。