農業農村工学会誌
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水稲の登熟期の掛流し灌漑が水田の窒素環境に与える影響
西田 和弘岩崎 里子塚口 直史吉田 修一郎
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2020 年 88 巻 10 号 p. 809-812,a1

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抄録

低温・低窒素濃度の灌漑水を用いた掛流し灌漑試験を実施し,掛流し灌漑が水田の窒素環境(田面水の窒素濃度,土壌中の窒素量)に与える影響を調べた。その結果,①灌漑水の流入・田面水の流出は,正味の窒素の持ち出しではなく窒素の供給であること,②地温低下に伴う窒素無機化量の減少が,玄米タンパク質濃度を減少させる要因の一つであることが明らかになった。一方で,これらの影響は,灌漑水の水質(温度・窒素濃度)によって異なることが考えられた。今後,掛流し灌漑による水田の窒素環境への影響を明らかにするためには,灌漑水の流入・田面水の流出に伴う正味の窒素供給,地温や土壌水分状態の変化に伴う土壌の窒素収支への影響について研究を行う必要がある。

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© 2020 公益社団法人 農業農村工学会
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