中村 哲医師は,現地PMSを率いて2003年から7年をかけてアフガニスタン東部のクナール河に「斜め堰」と24.8kmのマルワリード用水路を建設した。これが不毛の地と化した農地やガンベリ沙漠へ「命の水」を届け,農地復旧と新開地の約3,000haに安定灌漑し約15万人の命を保障した。この堰のモデルは福岡県朝倉市の「山田堰」で,中村医師は暴れ川・筑後川の洪水に耐えてきた堰の歴史や構造・機能に学び,伝統的利水治水技術も適用し大灌漑事業を行った。「緑の大地計画」ではそのほかにも多くの堰を新設・改修し農地を復旧させ,ガンベリ沙漠の一角に農場を開拓し「自給自足の農村復興」を目指している。本報では現地訪問記録も併せ紹介する。