本報では,簡便な目視調査から小規模ため池の堤体の草刈り状況を推定した。推定は夏季・冬季2回の調査で,ともに堤体を確認できたため池を対象に,それらの堤頂部・法面部の各植生状態データをもとにして行った。その結果,草刈り無しと推定されたため池割合は既往研究における管理無しため池の割合とほぼ同様の値を示した。また,冬季調査のみによる推定結果は,2回の調査による結果とほぼ一致し,夏季調査の追加による推定の効果は限定的で,推定に当たっては冬季調査がより重要であることが示唆された。また,非調査者を対象とした簡易アンケートは,ここに用いた推定手続きが調査者の主観を一定程度排除できたことを示唆した。