「農業水利施設の補修・補強工事に関するマニュアル【鋼矢板水路腐食対策(補修)編】(案)」(2019年9月制定)に基づき,自立式鋼矢板を対象に,腐食が生じた場合の構造性能の評価方法を提示した。鋼矢板に生じる曲げ応力度ならびに矢板頭部の変位量を照査すべき構造性能として,その性能評価に当たって,腐食に伴う板厚減少ならびに鋼矢板に特有かつ往々にみられる開孔・断面欠損部の影響を考慮できるようになっている。補修工法として有機系被覆工法およびパネル被覆工法により被覆防食を施工した場合の構造性能の評価試算例を示すとともに,矢板壁部背面を含め地盤土に接する部位の腐食速度を合理的に設定することが重要であることを確認した。