大規模災害の復興において被災者の生活再建が最終目的となるが,長い期間が必要である。復興対策においては,農家の意向,現場の状況によって採るべき対策は有機的に組織化する必要がある。災害復興の研究分野では,阪神淡路大震災以降,組織的な研究対応が進められているが,農業農村整備分野でも土木的な技術側面とともに,段階的な農家・農村の状況に対応したソフト対策についての経験の蓄積が必要である。復旧現場,農家・農村が抱える意向・状況への課題等の基礎情報を得る手段としてアンケート調査は有効な手段の一つである。今後の取組みにおいては,組織的・継続的なアンケート調査を実施し,当該災害の復興に役立てるほか,経験の蓄積による将来の災害時への備えについて提案した。