筑後川下流地区は,筑後川の下流域である筑後平野,佐賀平野および白石平野を受益地にする日本最大級の国営土地改良事業であり,福岡・佐賀両県の13市7町村にまたがる40,899ha(完了時)もの広大な地域を対象にしている。筑後川および嘉瀬川ダムに水源を確保し,用水系統の大規模な再編成,クリークの統廃合,アオ取水の合理化,農業用水の安定供給,排水不良の解消,地下水からダムへの水源転換による地盤沈下の防止を図るものである。本報では,本地区の長年の歩みを報告するとともに,技術的な特徴と地域の発展について述べる。