ため池の防災対策上,日常管理の実施は重要であり,今後は市町村などが定期的に調査することも想定される。多数の調査には迅速性・効率性が求められるため,現地調査に先立つ,管理放棄が疑われるため池のスクリーニング技術は有効となる。本報では管理状態の指標として堤体の草刈り有無に着目し,一般に入手可能な空間データを用いたGIS解析による堤体草刈り状況推定モデルの開発例を報告する。草刈り有無を応答変数,地形・環境要因を説明変数としたロジスティック回帰モデルによる分析の結果,3変数(水田面積率,傾斜,道路からの距離)モデルを得た。モデルは予測力,信頼性とも良好で,小規模ため池が多く分布する中山間地域でのモデルの適用可能性が示唆された。