多面的機能支払(以下,「多面払」という)は,新たな土地改良長期計画(2021年3月)で注目されている「農村協働力」の発揮に影響する施策と考えられる。多面払では,農村における社会資本を対象とした共同活動が集積する場が活動範囲として選択され,共同活動の積み重ねの結果,さらに農村協働力を積み重ね,活動が発展すると考えられる。以上の作業仮説をもとに,多面払の実施事例において,多面払の活動が,農村の自治組織である地域自治会および他の地域組織の存在・活動状況とどのような連携関係のもとになりたち,農村協働力の発揮につながっているのかを明らかにした。また,事例から,農業農村工学に求められる役割について考察した。