農業農村工学会誌
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農業用ダムの事前放流検討とその操作実績の事例報告
溝口 恵美子蒲生 誠
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2021 年 89 巻 5 号 p. 307-311,a1

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抄録

近年の水害の激甚化と治水の重要性を踏まえ,すべての既存ダムを対象に洪水調節機能の強化に向けた検証を行うよう一級水系を対象に新しい運用が開始された。本報では農業用ダムとして初めて治水機能を発揮すべく洪水前の事前放流を実施したダムについて事例紹介する。検討対象施設は九州の一級河川に農林水産省が建設したダムで,下流河川の安全確保と灌漑に支障がないことを念頭に実施マニュアルおよび洪水予測システムの作成を行った。令和2年7月豪雨・令和2年台風10号について事前放流を実施したが,洪水調節機能については,迎洪水前から常時満水位より水位低下できなかったダムを除きほとんどのダムで洪水ピーク量に対して放流量は26~82%調節できた。

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© 2021 公益社団法人 農業農村工学会
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