私たちは, オーストラリアの水稲生産量の95%を占めるコメ生産地帯を一週間踏査した。水田は圃区が30-40haの巨大な大区画水田で, その内部が等高線あぜで区切られている田越潅漑田であった。また, 機械作業効率の向上と節水的な水管理を可能にするために不整形のあぜを直線化させ, 用排水路を各あぜ区に直接接続する圃場整備が進行中であった。さらに, 浸透水によって生じた地下水位上昇による「塩水害」を防ぐために作付制限や浸透防止の研究が進められる一方で, 巨大な蒸発池の造成が実施されていた。乾燥地で持続的に水田農業を行うためには, 潅漑施設以外にその排水を処理する施設も必要であった。