発展途上国における参加型水管理 (PIM) は, その必要性にもかかわらず十分な成功を収めていない。本報は, その根本的な原因を, PIMの原理的な検討の不十分さにあると考え, 日本の経験と発展途上国における問題点を視野に入れながら, 農民参加による灌概管理の基礎原理を検討した。まずPIMを政府が自身の目標を実現するために必要なものとした上で, 政府と農民の行動目標の違いを認識すること, 平等配水が水管理の目標であることを政府が公言すること, 水管理の内容を4つのプロセスに分け, それぞれの機能に応じて, 政府と農民が役割分担をすること, 農民水管理組織設立の成功のためには, 末端組織と上位組織の同時設立が必要であることを示した。