地球温暖化は, すでに観測されている異常気象等の強さや出現確率が変化することによって進行し, 大気環境や水循環系に影響を及ぼすものとみられている。そのため, 温暖化への対応の基礎として気象・水文事象の変化が及ぼす農業水利への影響の評価, すなわち脆弱性やリスクの内容・程度・時期の評価が重要となってくる。本報では, 全国の地域別に過去 (1900年頃以降) ~ 現在~将来 (2081~2100年) にわたる気象観測記録や将来予測値に基づき, 水資源賦存量, 確率降水量, 強雨発生等の事象を俯瞰し, これらが農業水利の脆弱性要因となる可能性があることを示すとともに, 今後地域において脆弱性評価を行う際の留意点について提言した。