タイの20世紀初頭での森林面積は国土面積の7割を超えていた。それが1998年には25%まで減少した。森林の減少の最も大きな原因は農業者による開墾である。一方, 土地をまったく持たないか, ほとんど持たない貧農は, 同じく1998年には全農家の33%にのぼっていた。この報文では, 農業農村開発計画の基本や農地改革法の目的を記述するとともに, 荒廃した自然環境を保護するために, また, 貧農の貧困を解決するために, 農地改革地区で実施された2件の農業農村総合開発事業の特徴的な事項を比較して紹介し, 課題について言及する。これらの事業は, タイ政府の予算に加えて, 北タイで, デンマークと世界銀行の借款が入ったNGOとの共同事業と, 東北タイで, 円借款が入った事業である。