2008 年 76 巻 8 号 p. 746-747,a3
鍋川ため池では築造後相当年を経ており, 取水施設および洪水吐施設の老朽化が著しく, 用水の安定取水と洪水時の安全性確保が危ぶまれる状況であることから, ため池等整備事業を活用し, 取水施設および洪水吐施設の改修工事を実施した。事前の生物調査の結果, ため池およびその周辺には多種の鳥類, 魚介類, 植物が確認された。このうち, 魚類については, 固い基底がある場所や礫底を生息環境とする種が確認されたが, ため池底全体は堆積土砂で覆われており, 必ずしも良好な生息環境とはいえない状況である。本報ではヌマチチブを保全対象種として生息環境を確保・再生するための環境配慮対策について報告する。