フィルダムなどの盛土構造物には, 施工時, 運用時の構造物の安全性を確認するため, 埋設計器が設置されている。これらの多くは対象とする物理量を電気信号に変換する電気式計器であり, 電源の供給および計測データの配信のための導電ケーブルが必要であった。このため,(1) ケーブルの断線絶縁低下や誘導雷による埋設計器の故障による計測の不安定化,(2) ケーブル敷設用トレンチの掘削, ケーブル敷設, 埋戻し工程に伴う盛立て作業効率の低下, 等の問題点が指摘されてきた。そこで筆者らは, 低周波電磁波を用いた地中通信技術を活用したワイヤレス埋設計器の開発を行った。本報では, ワイヤレス埋設計器の概要と, フィルダム堤体への適用事例について報告する。