2018 年 14 巻 1 号 p. 1_32-1_38
産学連携学会では,平成20年から学金連携システム研究会の活動を開始し,全国で実施されている地域の知の源泉となる大学と,企業を支援する金融機関との活動事例を共有し,イノベーションを創出するシステムの研究を継続している.近年,社会情勢の変化は目まぐるしく,メガバンクといわれる大手金融機関は人員削減に取り組むことを公表した.これは,インターネット環境等により来店者が減少したこと等に起因し,更に融資等の業務もAIで審査をおこなうことも検討している.このような状況の中で地域金融機関は,事業性評価に基づく融資や積極的なコンサルティング活動が求められており,監督省庁の評価も変化している.しかし,金融機関の取り組みには差が生じている.本稿では,研究会活動を振り返ると共に各地域の取り組みから,地域イノベーションの現状と展望について考察する.