2020 年 16 巻 2 号 p. 2_77-2_91
本研究では,大学の研究成果の商業化の担い手である産学連携実務者の意識に着目し,産学連携関連法の整備時期や技術移転市場の規模が我が国と類似している欧州の産学連携実務者を比較対象に,知的財産マネジメントの費用対効果に対する意識,大学の研究成果の商業化に対する意識,地域社会への貢献に対する意識の3つの観点から分析をおこなった.その結果,日本の産学連携実務者は,知的財産マネジメントの費用対効果に対する意識,地域社会への貢献に対する意識が欧州の産学連携実務者より低いものの,大学の研究成果の商業化のために,ビジネス視点を持つことを意識し,大学の特許の産業界への活用を強く意識している可能性が示唆された.