廃棄物資源循環学会論文誌
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研究ノート
環境影響を考慮した災害廃棄物の広域処理の必要性に関する一考察
稲積 真哉大津 宏康奥野 直紀
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2012 年 23 巻 4 号 p. 199-206

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抄録
岩手県・宮城県・福島県において,東日本大震災で発生した災害廃棄物量は約2,200×104tonに上る。これは通常考えうる一般・産業廃棄物量を大きく超過しており,自県のみで処理を行うのは多大な時間,労力を要すると考えられる。そこで,環境省は災害廃棄物の広域処理を推進している。しかしながら,安全性の問題による住民の反対から,思うように処理が進んでいないのが現状である。本研究では津波堆積物に起因する環境影響に着目し,貨幣価値に換算することで廃棄物処理の環境影響度の定量化を行った。また,時間軸を評価方法に組み込むことで,処理方法を二面的にとらえた。本研究により,広域処理を行うことは処理スピードを大幅に向上させ,長期的な環境影響を考慮しても有効であることが確認された。また,災害廃棄物処理の初動においては広域処理を積極的に行い,被災地の処理インフラの整備状況を考慮しつつ,柔軟な処理を行うことが必要である。
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© 2012 一般社団法人 廃棄物資源循環学会
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