都市ごみ中の有機塩素の熱分解挙動の把握のために,粉砕したRDFに水分を加えた試料を用いて,過熱水蒸気による試料の乾燥と熱分解挙動を検討するとともに,試料温度または含水率のどちらかを用いて他方を予測する熱・物質移動モデルを,試料温度が373K未満の凝縮期間,373K一定である定率乾燥,および373Kを超える減率乾燥期間に分けて構築し,実験結果と比較した。試料温度または含水率の経時変化に関して,乾燥の各期間ともに同一パラメータを用いた計算値は実験値と大略一致した。過熱水蒸気の温度が高いほど,含水率の減少速度と試料温度の上昇速度が増大した。
試料温度473K近傍で有機塩素の熱分解が始まり,523K一定の過熱水蒸気で60min処理することで有機塩素の約90%が熱分解した。試料中のヘミセルロースとセルロースの熱分解によって,炭素,水素,酸素が減少したことにより,低位発熱量は乾物収率の減少とともに減少した。