2015 年 26 巻 p. 148-159
使用済み携帯電話を対象とし,1次破砕で10 mm 以下の砕片にした後,回分式の水平ブレード式高速カッティングミルによる2次破砕中の粒度分布の変化,ならびに貴金属4元素(金,銀,白金,パラジウム)の濃集挙動を追跡した。ブレード先端の周速度が200 m/s 前後で,10秒程度の粉砕により金,銀,パラジウムの90 %以上が2 mm 以下の細粉側に濃集し,白金の80 % 以上が2 mm 以上の粗粉側に残留する遅延現象が確認された。この結果により,本プロセスにおいては,2 mm 近傍での分級・分離が一つの指標になりうることが導かれた。また,白金の遅延現象が鉄の挙動と密接な関係があることがわかった。この粉砕過程を一次反応と仮定して解析した結果,速度定数は軸回転速度の3乗に依存することが判明した。孔径を2 mm にしたスクリーンミルの場合には,2 mm 以下の回収率が同一でも,0.5 mm 以下の微粉の減少により,金の回収率は低下した。