廃棄物資源循環学会論文誌
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論文
アスファルト固化体からの環境影響物質の長期浸出挙動と浸出機構
宮脇 健太郎 鈴木 泰博本山 光志
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2018 年 29 巻 p. 127-138

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抄録
発電所から発生する液体状の低レベル放射性廃棄物は,ドラム缶内でアスファルト等を用いて固化し,埋設処分施設に処分されている。この放射性廃棄物には,放射性核種以外に一般的な環境影響を与える物質であるほう素B等が含まれている。アスファルト固化体からの放射性核種の溶出特性については知見も多いが,ほう素についての検討事例はない。本報告では,アスファルト模擬固化体を用いて,1,000日間の浸漬試験 (IAEA試験法準拠) を行い,ほう素等の物質および放射性核種の溶出特性を確認した。また,固化体の表面および断面の経時的な観察 (SEM他) を行った。溶出特性と断面観察の結果から,固化体内部の物質の溶出は,浸漬水が固化体に拡散浸透する過程が律速となり,溶出は拡散モデルで評価できると推定された。その拡散係数は,浸漬水の種類,元素 (溶解度の低い物質は除く) によらず,1×10-15m2/s程度となった。
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© 2018 一般社団法人 廃棄物資源循環学会
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