既設の一般廃棄物最終処分場において,不適正な状況を改善するための適正化事業が行われた。この最終処分場は,旧崩壊地形の中に設置されたものであり,最終処分場周辺の地すべりや埋立地内の廃棄物層の力学的安定性が問題の一つとなった。この最終処分場において,こうした力学的安定性の観点からの調査として,地下水調査,地盤変位調査,物理探査等を実施した。
その結果,廃棄物層の推定には地質工学的手法 (資料調査,地形調査,地質調査,総合評価) が重要であることが示された。さらに,周辺の旧崩壊地形は,現状安定であっても古い廃棄物を除去した場合不安定化すること,廃棄物層には応急対策実施後も高い含水状態の部分があり,大規模地震等が生じたとき不安定化する可能性があることなどが明らかとなった。恒久対策としては,押え盛土的役割をもっている古い廃棄物を残し,廃棄物層内の保有水等の除去を行うことが有効であることの結論を得た。