廃棄物資源循環学会論文誌
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論文
ハイドロタルサイトを用いた硫酸塩還元菌による硫化水素発生の抑制効果
内田 美穂
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2018 年 29 巻 p. 257-265

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抄録

廃棄物埋立処分場において嫌気性条件下で硫酸塩還元菌 (SRB) の活動により硫化水素 (H2S) の発生が報告されている。H2S の硫黄源となっている硫酸イオン (SO42-) を除去するために,陰イオン交換機能をもつ層状複水酸化物ハイドロタルサイトの層間に,あらかじめ塩化物イオン (Cl-) をインターカレートしたハイドロタルサイト (HT-Cl) を SRB 生育条件下で添加し H2S の発生抑制効果を検討した。SRB 培養液中に含まれる SO42- 全量を交換するために必要な理論イオン交換容量の HT-Cl を添加した場合, H2S の発生が顕著になるまでの誘導時間は,HT-Cl を添加しない場合と比較して長くなったが,総 H2S 発生量に変化はなかった。培養液中に含まれる SO42- 量に対して理論イオン交換容量の 3 倍量の HT-Cl を添加した場合,単位時間あたりの最大 H2S 発生量が減少し,高濃度の H2S 発生を抑制する効果がみられた。

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© 2018 一般社団法人 廃棄物資源循環学会
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