廃棄物資源循環学会論文誌
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研究ノート
ハイドロキシアパタイトの水熱合成へのホタテガイ貝殻利用の特徴
小林 淳哉 木村 幸乃
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2022 年 33 巻 p. 170-177

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抄録
ホタテガイ貝殻から合成した酢酸カルシウムに対し,りん酸水素二アンモニウムをハイドロキシアパタイトの Ca/P 比の化学量論比になるように混合し,水を加えて 120 ℃ または 150 ℃ で,2 時間または 18.5 時間水熱合成反応させたところ針状のハイドロキシアパタイトが合成できた。酸性タンパク質であるウシ血清アルブミン (BSA) の吸着率は 97.7 %,塩基性タンパク質であるサケ由来プロタミン硫酸塩 (S-PR) の吸着率は 24 % となり,酸性および塩基性タンパク質の分離用吸着剤としての可能性が期待できた。このタンパク質の酸・塩基性による吸着の選択性は,貝殻由来のハイドロキシアパタイトが針状構造をとることに起因している。結晶の針状化には貝殻に含まれるストロンチウムイオン等の 2 価イオンや微量の有機物成分が影響していると推定できるので,ホタテガイ貝殻を原料として利用することが利点になる。
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© 2022 一般社団法人 廃棄物資源循環学会
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