2024 年 35 巻 p. 96-106
政府は2019年に「プラスチック資源循環戦略」を策定し,排出抑制やリサイクルに関するマイルストーンを設定した。これらの達成に効果的な施策を設定するためには,廃プラスチック発生の実態解明が重要である。一方,これまで日本では,廃プラスチック全体の発生量に関する網羅的な地域レベルの分析は十分に行われてこなかった。本研究では全国の市町村・組合を対象に,焼却施設の組成調査から推計した可燃ごみとしての発生量および資源化量から廃プラスチックの発生量を推計し,さらに1人あたり発生量に影響する地域的要因を分析した。分析の結果から,1人あたりの加工食品への消費支出額および宿泊・飲食業の付加価値額の多い市町村・組合の群ほど,廃プラスチック発生量が多い傾向が明らかになった。また,不燃ごみおよび粗大ごみとしての発生量を加えた全国の廃プラスチック全体発生量も推計し,既往の推計では発生量が過小評価されていた可能性を示した。