抄録
本研究の対象は,一般廃棄物処理施設のストーカ式焼却炉に併設されるごみピットとピットクレーンである。ピットでの作業の目的は安定焼却の実現であり,長期連続運転と均質化されたごみをホッパへ適宜に投入することが求められる。また,人材不足の今日,ピットクレーン運転の省人化は喫緊の課題である。このため,さまざまな可能性を有する強化学習を適用したクレーン自動運転支援システムを検討し,その効果を検証した。実機でのさまざまな検証は現実的でなく困難であるため,ピットの構造とクレーンの挙動などについてモデリングした離散系システムシミュレーションを活用した。強化学習では,長期連続運転と均質化されたごみをホッパへ適宜に投入する目標に寄与する報酬を与え,ピット状態と時間帯に応じたクレーン作業を学習させた。学習結果に基づくクレーン作業の検証により,長期連続運転と均質化されたごみのホッパ投入の実現を確認できた。