2019 年 12 巻 1 号 p. 68-76
【目的】
ビタミンDが不足すると、骨の健康に悪影響を及ぼし、骨折のリスクが高まる。ビタミンDは、食事からの摂取に加え、皮膚への紫外線照射によって産生されることから、屋内競技のスポーツ選手では、体内のビタミンDが不足することが懸念される。実際に、バドミントン日本代表では、ビタミンD栄養状態の評価指標である25(OH)Dに関して、目標値である30 ng/mL以上を満たした選手がみられなかった。そこで、バドミントン日本代表選手のビタミンD栄養状態を改善する目的で、約1年間の栄養介入を行った。
【方法】
対象は、バドミントン日本代表選手39名(男子選手19名、女子選手20名)とした。調査項目は、血液検査、食事調査、身体組成計測とした。栄養介入において、ビタミンDの摂取量を増やす方策として、その主な供給源となる魚類の摂取量を強化することを中心とした行動計画を個別に提案した。
【結果】
栄養介入前後において、25(OH)Dは有意に増加していた(p < 0.001)。また、食事調査では、ビタミンDと魚介類の摂取量が有意に増加していることが示された(いずれもp < 0.05)。
【結論】
約1年間の栄養介入により、日常的にビタミンDの供給源となる魚類の摂取量を増やし、ビタミンDの摂取量を増加させることで、25(OH)Dが改善することが示された。