胸腺摘出術を受けた9名のMG患者の日常生活における問題点とその工夫について研究をおこなった。その要約は以下の通りである。
(1) 胸腺摘出術を受けたMG患者の治療効果は,病期(Osserman分類),年齢,病悩期間などの条件により症状の改善および寛解に差があった。
(2) MGの症状が改善または寛解していない患者は,主に咀嚼・嚥下障害,上肢筋麻痺・挙上困難,下肢筋麻痺,眼障害などのため日常生活において不便さを感じていた。しかし,これらの不便さに対しては患者自身で考慮した工夫がなされていた。
(3) MG患者の心理的状況として,術前は開胸術や手術の結果に対する不安が多く,一方術後では病悩期間が長く手術の効果が少ない症例において生きていくことへの不安感が強かった。