2003 年 26 巻 4 号 p. 4_31-4_43
本研究の目的は,育児ストレスの父母間の差違,育児ストレスに関連する家族特性,育児ストレスとコーピングスタイルの関連について明らかにすることである。 育児ストレスは日本版Parenting Stress Index,コーピングスタイルは対処様式測定法を用いて測定した。 郵送法による調査により,1 歳 6 か月児を持つ191組の父母から有効回答 (有効回収率60.4%) が得られた。 統計的解析により得られた結果は以下のとおりである。
1) 日本版 PSI 総得点,「親自身に関わるストレス」 では母が父より高く,「親を喜ばせる反応が少ない」 「子どもに愛着を感じにくい」 では父が母よりも高かった。
2) 父母ともに子どもの健康状態が良好であり,第二子以降の場合に育児ストレスが低かった。
3) コーピングスタイルに父母間の差はみられず,父母ともに育児ストレスを強く感じている者は情動中心コーピングをより多く用いていた。