2008 年 31 巻 4 号 p. 4_41-4_48
本研究の目的は,統合失調症患者のSOCの特徴を理解し,生活環境の違い,年齢,婚姻の有無,生活満足度,喫煙などが,SOCにどのように関連するかを明らかにすることである。対象者は,慢性期にある入院患者90名とデイケア通所中の統合失調症患者72名,合計162名である。調査方法は,基本属性,日本版SOCスケール13項目,健康水準,生活満足度の自記式質問紙調査を使用し分析を行った。その結果,統合失調症患者のSOC総得点は低値で,入院群の方がデイケア群よりSOC総得点は高かったが,有意差は認められかなった。このことから,生活環境の違いはSOCの影響要因ではなかったことが考えられる。重回帰分析の結果,統合失調者症患者のSOCに関連していた要因は,健康水準,生活満足度,年齢であった。以上のことからSOCを高めるには,日常生活動作の自立や拡大,心身面への健康度等の健康水準を高める援助が必要である。