日本看護研究学会雑誌
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看護師が認識する療養している高齢者のセルフケアとセルフケアに関連する要因
金子 史代
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2011 年 34 巻 1 号 p. 1_181-1_189

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抄録

 看護師が認識する療養している高齢者のセルフケアとセルフケアに関連する要因を明らかにすることを目的に,高齢者の看護経験者4人による5回のディスカッションの逐語録をKJ法により質的に分析した。看護師は高齢者のセルフケアを【自分で行う積極的な役割と人に任せる主体的な役割がとれている】という自律的な行為と,【生活者として自分が満足できる生活を送ろうと努力している】生活者としての努力であると認識していた。そして,このセルフケアに関連する要因には,高齢者の内面的要因として【気力と生きる張りあい】,高齢者の心身両面から生活を支える【家族と身近な人の支援】があり,これらは高齢者の【責任と誇り】, 【社会への参加】と関係し高齢者のセルフケアを維持すると関連づけていた。これらの看護師の認識は,高齢者がセルフケアへ前向きな意識を持ち続けられるように,今までの生活において学習してきたやり方の継続を通して高齢者の努力を支え,高齢者が自己と他者への寛容さをもってセルフケアを維持していけるように支援していくことの重要性を意味している。

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© 2011 一般社団法人 日本看護研究学会
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