日本看護研究学会雑誌
Online ISSN : 2189-6100
Print ISSN : 2188-3599
ISSN-L : 2188-3599
呼吸困難を抱える治療期進行肺がん患者の体験
橋本 晴美神田 清子
著者情報
ジャーナル フリー

2011 年 34 巻 1 号 p. 1_73-1_83

詳細
抄録

 本研究の目的は,呼吸困難を抱える治療期進行肺がん患者の体験を明らかにし,必要な看護支援を検討することである。呼吸困難を抱える進行期の原発性肺がん患者12名を対象に半構成的面接法によりデータを収集し,質的帰納的分析を行った。その結果,呼吸困難を抱える治療期進行肺がん患者の体験を表す【課せられた活動困難性】【安定した自我の希求】【自己の孤立化】【不確実な未来への脅威】【自己概念の低下】【生きる支えとなるものの喪失】の6概念と概念構成が明らかとなった。また,これらの体験には,呼吸困難ががんという疾患と結び付きより複雑にとらえられていることや,呼吸困難の存在自体が表在化されにくく患者が孤立しやすいなどの特徴があると考えられた。以上より,看護実践への示唆として,個々の呼吸困難体験の理解と安定した自我の再構成に向けた支援,自己効力感を高める支援,ソーシャルサポートの促進が重要であると示唆された。

著者関連情報
© 2011 一般社団法人 日本看護研究学会
前の記事 次の記事
feedback
Top