日本看護研究学会雑誌
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女性看護師の離職に関連する要因
-関東地域一般病床200床以上の病院勤務看護師の縦断研究から-
荒川 千秋
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キーワード: 看護師, 離職, 縦断研究
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2011 年 34 巻 1 号 p. 1_85-1_92

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抄録

 本研究では,関東地域一般病床数200床以上を持つ93の病院に勤務する女性の看護師を対象に離職に関与する要因を明らかにするために前向きコホート研究を行った。
 この研究では,ベースライン調査に回答した看護師8,327名のうち,6ヶ月後に行った追跡調査では59の病院の看護部長からの協力がえられ,5,387名の回答が得られた。このうち,看護師として就業している者,夜間勤務をしている者,病棟勤務をしている者の3つの条件を満たす3,756名ののうち,離職したかどうかかが不明な76名を除き,3,602名を解析の対象とし,ロジスティック回帰分析を行った結果,離職の頻度は,夜間勤務が1回/1ヶ月増えるごとに1.175倍(オッズ比1.175,95%信頼区間1.070-1.290)となり,子供のいない看護師よりいる看護師が0.587倍(オッズ比0.587,95%信頼区間0.346-0.995),VASでの夜間勤務時の忙しさが1ポイント増えると0.989倍(オッズ比0.989,95%信頼区間0.980-0.997),経験年数が1年増えるごとに0.954倍(オッズ比0.954,95%信頼区間0.920-0.989),健康関連QOLの活力(Vitality)が1ポイント増えるごとに0.989倍(オッズ比0.989,95%信頼区間0.980-0.997)となった。これらの結果より,看護師の離職予防のために,看護師の1ヶ月当たりの夜間勤務の回数を減らす方策の検討の必要性が示唆された。

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© 2011 一般社団法人 日本看護研究学会
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