抄録
本研究は,中規模病院の看護管理者に求められる『看護管理者のコンピテンシー評価尺度(NACAS)』を開発することを目的とした。調査は,看護管理者に求められるコンピテンシーの要素を探索するため,熟練看護師による内容妥当性の検討を行った。その後に,看護管理者1,789名を対象に,評価尺度を構成する質問項目を作成するための調査を実施し,コンピテンシー評価尺度25項目を抽出した。これらの項目について因子分析を行った結果,4因子が抽出された。第1因子は〈問題対処行動〉,第2因子は〈対人関係〉,第3因子は〈目標設定〉,第4因子は〈情報収集〉であった。各因子の信頼性は,Cronbach's alpha係数値では .78~.92,再テスト法では.58~.77(p<.05)となり,当該尺度が,内的整合性および安定性を確保していることが示された。また,本調査で得た尺度得点は,上位の職位ほど有意に高い結果となった。